エンジニアが人事に異動したら意外と人生面白くなった件 第1話

 30歳を超えるまでIT業界にどっぷりハマった私は、ブラックな環境を物ともせず高い報酬につられてハードワークをつづけ、転職をしながらITコンサル、エンジニア、プロジェクトマネージャーとジョブを変えながらレベルアップを重ねた。

なぜか自分が携わるプロジェクトはハードなものが多く、プロジェクトルームからあかりが消えることがないことから社内で不夜城などと呼ばれていた。

電車で帰れる日などほぼなく22時くらいに夜食をとって、そこからもう一仕事というのが普通で、今考えると完全にアウトな環境なのだが、若さとやる気を武器にがむしゃらに頑張った。

転職しても自分の仕事運はあまり変わらず、評価を受ければ受けるほどハードなプロジェクトにアサインされていった。

デモに限って動かないシステム、本番環境でしか起きない不具合、金曜日に限って起きる障害、休みに限って体調不良になる自分、テストフェーズに入ってからの仕様変更、自分がサーバー監視している時に限ってサーバーフリーズ、人には優しくないサーバールームでの作業、テスト環境と間違えて本番環境いじっちゃう、テストが終わったと思ったらログが一切残ってない、、、、さまざまな罠にハマりながらそれでもレベルアップを諦めず前進し続けた。

特にシステム保守では過去に埋め込まれたバグがいきなり爆発するという、不発弾の処理班のような案件を担当した。社内ではそういうシステムのことを王家の墓(ルクソール)と呼び、掘り起こすと祟りが起きると言われていた。

私はよくその墓を掘り起こして、とんでもない祟りに見舞われることになる。

ソースコードの作成者には副社長の名前が、、、、どうやって報告しようなんて思うことは日常茶飯事。

ある年末、これから自分は何になりたいんだろうとふと考えた。

俺は社長になりたいのか?独立したいのか?何になりたいんだ?

ちょうど大規模プロジェクトを終えて燃え尽きた私(32歳)の悩みは深刻だった。

この時は、この数ヶ月後に人事部(HR)に異動するとは思ってもいなかった。

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